税理士試験にとにかく1科目でも科目合格したいのですが、どうしたらいいですか?(2)




 【4】財表の「理論」の攻略法 :
 本試験では、計算でしっかり基礎点を稼いだ後(年にもよるが、8割程度は埋めたい)に、40分位で理論問題の解答をします。財表の理論(論述問題)は、近年、難易度が上がってきていると言えるでしょう。難易度が高いという理由は以下の通りです。
 ・かつては、「丸暗記」したものを「ベタ書き(そのまま書くこと)」だったが、今は、理解型の論述形式になってきた
 ・よって、理系人の様な「論理的思考」が必須となる
 ・理解重視の問いにより、どこを学習していいのかわかりにくい(事前の対策が立てにくい)
 ・理論の出題範囲が(名目的にはあるが)事実上ない
 ・各専門学校の予想が大抵外れてしまっている
 ・理論出題者(会計学者)が暗記型・パターン学習を嫌い、近年は意外なところから出題される
 ・難問を解くにしては、40分ではもともと時間が足りず、取捨選択が重要となり、センスも問われる

   これらに対処するにはどうしたらよいのでしょうか?専門学校の勧めるがままの理論学習(とにかく暗記型)ではダメでしょう。
NG例)
 「来週のミニテストまでにこの暗記項目を覚えてきて下さい」と言われて、丸暗記に着手する
 学校の出した「出題可能性ランク表」を真に受ける
 予想に頼る

 学者の求めに応じ、「会計」的な「論理的思考」を身につける。つまり、「→(矢印)」の発想です。会計の考え方を「→」でつなぐ力です。この「→」ができなければ、本試験合格はないと断言できます。暗記だけでは解けない例題を出します。

<第62回(2012年)第2問より抜粋>会計の「評価」に関する穴埋め問題
 会計において評価とは、広義には、( イ )を決定することを指す。「棚卸資産の評価方法として移動平均法を採用している」などという場合には、かかる意味で評価という術語が用いられている。
 一方、狭義の評価は、資産や負債の( ロ )の変動を測定することによって純資産の変動要因を直接的に把握する事を指す。(以下、略)
 「選択肢」
 ( イ )の候補 1.金額 2.勘定 3.期間 4.業績 5.方針
 ( ロ )の候補 A.簿価 B.科目 C.価値 D.期間 E.処理

 答えは、
( イ ) 1.金額
( ロ ) C.価値
でした。
 丸暗記では絶対に対処できません。なぜなら、この文章は「会計法規集」などからの「条文」ではなく、会計学者が作った文章であり、この文章をまるまる暗記させるような対策はどの学校でも不可能であるからです。はたまた、何千パターンも丸暗記するような学習は現実的ではありません。
 なにより、この問題から会計学者である出題者が、会計的な論理的思考を求めていることがわかります。

 <論理的な答えの導き方>
 ( イ )について :
「ヒントの移動平均法と言えば、、」→「商品有高帳で払い出し単価を決める方法だったな」→「払い出し単価から、期末の棚卸高を決めたな」→「棚卸高ってなんだ」→「個数じゃなく、金額だったな」→1.金額 
( ロ )について :
 「ヒントの資産・負債・純資産の変動要因といえば、、」→「学校で資産負債アプローチ(中心観)ってのをやったな」→「資産負債アプローチの目的って何だったっけ」→「企業の価値を明らかにすることだった!」→C.価値

 このように頭の中で「→」の連鎖を組んでいくと答えにたどり着けます。これを養うためには、「講師の言う事をしっかり聴き、筋道のたてかたを理解する」「特に『なぜ?』『どうして?』『○○だから』の理由の連鎖を大切にする」「理論テキストを理解できるまでとことん読み込む」「理論の全体像、個別理論、視点を変えてヨコのつながりもチェックする」「理解の繰り返しをしているうちに、いつのまにか会計用語を暗記できてしまった」「わからないことは、良く考えた上で、早めに講師に質問する」ことです。講師も死線をくぐりぬけてきた人達ですから、様々な体験談があり、役立ちます。遠慮せず、質問しましょう。
 とにかく、「理解」が大事です。本番での「粘り」「底力」も「理解」あってこそです。



 【5】受講形態 :
 このページを見てくれているあなたはWEBが利用できる環境にあると思いますので、「WEB通信」をお勧めしたいと思います。

<生授業(実際に学校に行く方式)のデメリット> 一般に専門学校が推奨する方式ですが、やはりデメリットはあります。
 ・大人数がいるため、気兼ねなく質問しがたい雰囲気がある。質問を練っている時間なく、質問しなくてはいけないため、ナンセンスな質問になりがち。
 ・通学しているという安心感があり、油断する
 ・通学時間などがロスになる
 ・飲み会などの勧誘があり、学習の妨げになる(出ないと講師からの風当たりが、、?)
 ・税理士受験と全く関係ないルール(用紙の配布・回収方法など)をわざわざ覚えなければならない
 ・個人情報の管理が微妙(受講票やテストの解答用紙を、会員間の手渡しで回収・配布する講師が、、)
 ・「青い顔」or「イライラ顔」をした「ライバル達」と同じ時間と空間を共にしなければならない(高校や大学とは違います)
 ・タバコくさい人やうるさい人等がいたりしてストレスを感じる
 ・「自習室」にも厳しいルールなどあり、勉強しにくいという意見も(他講座受講の学生などから、電卓の音がうるさいというクレームが。どうやって勉強すればいいんだ!?)

<WEB通信のメリット> WEB通信の方が「合格につながりやすい」と思っています。
 ・わからなかったら、わかるまで巻き戻せる
 ・わかっているところは、1.4倍速で巻いていこう!
 ・メールで質問できるため、マンツーマンで、気兼ねなく質問できる。しかも、質問前に調べ、文章化するため、かなり練った高度な質問ができ、実力がつく。
 通学していないという危機感が、自己管理と学習を推し進める
 いつ、どこででも(職場でさえ?)WEB学習できる
 ・サラリーマン的なお付き合いがなく、学習に集中できる
 ・税理士受験と関係ない「オキテ」がない
 ・個人情報は100%自己管理
 ・無用な人間関係がない
 ・100%学習に専念できる環境をつくりやすい
 ・コスト削減の恩恵で、「総合計算問題集」などを無料でくれたりする

 税理士試験だけでなく、資格は「うかってなんぼ」「結果がすべて」の世界です。よって、「うかる!」ことのみに集中したい方向けに、「WEB受講」をおすすめしたいと思います。

 【6】学校は? :
 こればっかりは、どうしても「好み」や「講師の考え方・話しぶり」、学校のコンセプトと「合う・合わない」などの個人の考え方の差が大きく影響するため、なんとも言えないところです。
 よって、パンフレットを見て、気になった学校の「第1回講義」を体験受講(無料)して、比較検討するのがよいでしょう。ちなみに、9月、1月、5月が一般的に(生授業の)受講開始の月です(WEBなら随時開始可能)。

 以上ですが、このページを読んでくれたあなたの健闘を祈り締めさせて頂きたいと思います。


  ★まとめ
 税理士試験、まずは1科目として「財務諸表論」を「WEB通信」を利用して狙いましょう! 「理論」が難しいですが、「論理的思考」・「理解」で攻略できます。
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2021年5月24日