資産・負債を貸借対照表に載せる、載せないで論議するのはなぜですか?

●オンバランスの論拠 : 大原則
   貸借対照表完全性の原則から、資産性・負債性のあるものはもれなく貸借対照表(B/S)に記載しなくてはならないとされていることを論拠としています。これは、重要性の原則の「重要性の高いものは厳密な会計処理・表示が要請される」という解釈と、正規の簿記の原則のうち「網羅性」によることからも導かれます。
 載せるべきものを載せなかったら、裏帳簿とか簿外資産・負債とされ、「不正会計」と指摘されるというわけです。特に、時価主義をとる金融資産へは厳しい視線がそそがれています。「A社の消えた年金問題」や「O社の有価証券問題(損失を大きく出した株を租税回避地の子会社へ意図的に隠した事件)」が記憶に新しいところでしょうか。ステークホルダー(特に株主)への直接的な損害・信用失墜が生じます。
 どちらにしても、IFRSアドプションにより、「資産負債法」など時価評価が中心の資産負債中心観・資産負債アプローチに変遷してきており、「B/Sを見ればわかる」ことは、これまでより重要な考え方となることでしょう。

●オフバランスの論拠 : 例外
 上記で、会社のすべての資産・負債を計上すべきとしました。
 しかし一方で、重要性の原則の解釈のうち「重要性の乏しいものは簡便な処理・表示によることが容認される」というのもあり、オンバランスの論拠の例外的扱いとして、あえてB/Sに載せないとするからです。科目として細かくしすぎたとか、金額として僅少だといった重要性の乏しいものまで詳細に記載すると、かえってステークホルダーへの誤解を生じさせかねないため、簿外資産・簿外負債も場合によっては特例的にOKとされるからです。これを「概観性の確保」といって、ある程度、カテゴリーごとにまとめることも大切にする考え方です。
 上場企業のB/Sに、ボールペン黒100円、青100円、消しゴム50円、、、という具合に消耗品1つ1つ全部記載したらかえって財務分析できないですよね、ということです。

★特殊な解釈 : 例外中のさらに例外
・ファイナンス・リース取引では、法的には賃貸借でも会計的・経済的には買ってきたのと同じとみます。法律だけで考えると、賃貸借契約ですから、資産も負債も生じず、貸借対照表には載せるべきではないと考えられるはずです。しかし、会計上は買ってきたものとして、(借方)リース資産(貸方)リース債務 という仕訳をきり、オンバランスします。
・退職給付会計には「年金資産」という資産と名がつくものが登場します。この年金資産は退職給付のためにのみ利用されることが法律で定められています。よって、他の業務からくる一般の資産と区別しないと、ステークホルダーに誤解を生じてしまうので、あえて「オフバランス」とすることにされています。
*なお、個々の実態に即して、載せる・載せないが議論されており、今後IFRSのアドプションによってはまたガラリと変わることも考えられます。

★このように、会計では、オンバランス・オフバランス、貸借対照表能力がある・ないという言い回しがあります。
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最終改訂2013/2/20

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