異物分析はどうやったらよいでしょうか?

品質管理部の異物分析のプロが行う手法を記載します。
【1】異物(検体)の確保 : 異物の形態にもよりますが、ビニル袋、シャーレや保存ビンを使うのが一般的です。品質管理部以外の素人がよくやりがちなミスとしては、素手でつかみ、セロハンテープで紙に貼り付けたりされるケースです。手の油脂の成分とセロハンテープの有機物成分で分析しにくくなりますから、事前の注意喚起が必須です。「検体はピンセットで掴み、シャーレに入れる事」など。なお、プロである品質管理部の者も異物返却まで、検体の計画的利用と管理を怠らないことが大事です。さらに検体は小さい場合が多く、失くしやすい点も要注意でしょう。
【2】形状確認・写真撮影 : 異物のありのままの形状をデジカメの「接写モード」で撮影します。また、検体の大きさに関わらず、表界面を観察するため、CCDカメラ(50倍〜200倍)などで、観察とデジタル撮影をします。この時点で、大体の類推が可能です。
【3】大分類を類推(特定はしない) : 異物のあった状況(場所・工程・時間帯)をイメージします。また、金属光沢の有無で金属かどうか判別します。結晶性があれば、無機物と判別し、また、油状であれば、有機物と判別します。曖昧な情報ですが、レポートの際に必要な1データとなります。プロはこの時点で大体なにかわかりますが、誤診の可能性もありますから、この時点では自信があっても断定しない点は大事です。「金属かも?」くらいに留めます。
【4】科学的測定・分析 : 様々な分析機器があり、それぞれからわかる情報はことなります。
 ●電子顕微鏡でわかること : 形態を問わず、分析できます。結晶形状していれば、無機物です。電子線をあてて、黒く画像が飛んだら有機物です。なお、有機物を電顕で見たいのなら、金蒸着又は金スパッタリングで観れるようになります。
 ●EPMAでわかること : 無機物の分析に適し、有機物の分析には適しません。元素レベルでの組成分布、特定の物質の含有率(%)がわかります。これらデータと、既存の社内材料データと比較・一致するものを探すもよいでしょう。さらにPC用のサーチソフトを使うと絞りやすいです。
 ●FT−IRでわかること : 無機物の分析には適さず、有機物の分析に適します。赤外線をあて、分子間結合特有の振動数(cm−1・カイザー)のピークからチャートを作成し、既存の社内材料データと比較・一致するものを探します。さらにPC用のサーチソフトを使うと絞りやすいです。
 ●クロマトグラフ : 液体と気体なら分析できます。分離される時間が物質ごとに違うのを利用して、物質を特定します。PHメータなども有効でしょう。
 ●その他分析機器 : 異物分析で一般的なのは上記4点です。しかし、さらに踏み込んだ分析をしたいのであれば、医療で用いられる「CT−スキャン」も使うケースがあります。異物分析としては超マイナーですが、遺伝子分析や炭素年齢分析などするケースもあるのかもしれませんね。
【5】解析 : 測定データから、物質を特定します。データからヒットするなら断定できますが、無理なら消去法による推定することになります。特定も推定も難しい場合もあり得ますから、それも大事な結果として報告の1データとなります。
【6】レポート作成 : 異物の写真、表界面写真、測定データ、解析結果、原因、場所・工程、特定した物質の名称と影響等を最低限記載します。クレーム、単なる分析依頼で書式は大きく異なりますから、フォーマットを用意しておくとよいでしょう。物質が特定できなかったのなら、わかる分のデータとその旨記載します。なお、レポートは正直なのが大事で、改ざん等はしてはいけません。嘘を塗り重ねて破滅しかねませんから。
【7】報告 : 場合によっては、営業部員に同行して消費者や得意先へ、プロとしての説明も必要な場合があります。理工系出身の多い品質管理部門の者といえど、話術も鍛えておきましょう。但し、あくまで分析のプロですから、ハッタリや嘘だけはNGです。



 異物・検体は返却するのが一般的なので、分析依頼・受領の時点から計画的に使い、残量が最も多くなる手法を選択しましょう。

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最終改訂2013/2/18

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